「……ごめん、『なんでもない』は嘘。 ちゃんと言うよ」



ハァ。 と息を吐き出したYUKI。

……なんだか、自分で自分にイラついてるみたい。



「とりあえず、なるべく人の居ないところに移動しようか。 ……って、どこ行っても人がいっぱいか……。 まぁいいや、歩きながら話そう」

「う、うんっ……」



……さっきまでの和やかなムードが一変し、YUKIは無表情に近い顔で道を進んでいる。

だから私は何も言えず、その隣を歩くだけだった。


周りに居る人みんな楽しそうに笑ってるけれど、私とYUKIの間だけ、なんだか空気が重たい感じだ。



「……すっごく驚かせると思うから、先に謝っとくよ。 色々黙っててごめん」



そう言ったあと、YUKIは熱帯魚が泳ぐ水槽を見ながら小さく息を吐き出した。






「俺、性別だけじゃなくて年齢も偽ってました」

「……え?」

「YUKIは20歳の女子大生…って設定だけど、俺、本当は大学生じゃないんだ」


「……そうだったの……?」

「うん」



……YUKIは女の人じゃないし、20歳でもないし、大学生でもない。


そっか。

YUKIは、色々なことを偽った状態でチャットしてたんだ。


……でもそれって、別にそんなに驚くようなことじゃないような……?



「えっと……あの、それって割りと普通のことじゃない? チャットだったら、よくある話だと思うよ?」