「一瞬見えなくなりかけてたよ」

「……いやいやいやっ、見えなくなりかけてたとか普通にヤバいと思うんだけどっ」

「うん、今マジでヤバいと思ったよ。 なんか、闇に取り込まれそうだったから」


「ちょ、怖いこと言わないでっ」



と焦る私の頭を、YUKIはポンポンと優しく叩いた。



「よし、悪い奴らを追い払ったよ」

「……ちょっ、そういうのほんと怖いからやめてっ。 ていうかYUKIって霊感とかある人なのですかっ!?」

「無いよ。 あったら怖いじゃん」


「……無いのかいっ」



チャットしてる時のように、即座にツッコミを入れる。

そんな私を見て、YUKIはくつくつと楽しそうに笑った。



「よかった、元気になったみたいだね」

「え? あー……はい、おかげさまで……」

「うん、さすが俺」



優しいその声に、私もクスッと笑う。


……同じクラスの子を見つけた時、私は『幽霊』になっていた。

多分それが、YUKIから見たら『元気がない』ように見えたんだと思う。

実際、ちょっとテンション下がっちゃってたしね。


だからYUKIは私に声をかけて、笑わせてくれたんだ。



「YUKI、ありがとね」

「何が?」

「一緒に居てくれて、だよっ」



そう言いながら、YUKIの手をギュッと握りしめる。

そんな私にYUKIは微笑みながら、繋いでる手と反対の手で私の頭をそっと叩いた。



「俺こそ、一緒に居てくれてありがとう」

「うんっ、さすが私っ」

「ふふっ……そうだね、さすがサクラだ」



そんなことを言いながら、私たちはまた大きな水槽へと視線を移した。