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その後、入館を済ませた私たちは手を繋ぎながら ゆっくりと館内を見て回っていた。

……と言っても、かなり混んでるから立ち止まったりとかはあんまり出来ないけどね。


大きな水槽の中では数多くの魚が優雅に泳いでいて、とても綺麗。

外の蒸し暑さを忘れ、私たちは海の底にでも居るかのように魚たちの世界を見つめていた。


……ふとその時、私たちの近くで彼氏とお喋りをしてるギャルが、同じクラスの子だと気がついた。

まぁ、その子は私には絶対気付かないと思うけどね。


だって私って、学校だと『幽霊』みたいなもんだもん。

チャットの中では明るい女の子だけど、リアルの私は地味で人見知りが激しくて、影の薄い存在。

……だからギャルの女の子は、絶対に私に気付かない。



「サクラ。 大丈夫?」

「……え?」

「なんか、今にも消えちゃいそうな雰囲気だったから」



隣に居るYUKIが、ふっと笑う。

私…が、消えそうだった……?