「……行っちゃった」
車はあっという間に見えなくなり、私はポツンと一人きり。
……やっぱり、寂しいな……。
「……またね、フジヤマ」
もう居ないフジヤマにそう言ったあと、私も歩き出す。
……お父さんもお母さんもまだ仕事から帰ってきてない時間だから、家に帰っても一人きり。
でも、大丈夫。
家に帰ってパソコンを起動すれば、もう寂しくない。
だって、私には『高校生ルーム8』がある。
みんなと出会った場所。
みんなとこれからも過ごしていく場所。
だから全然寂しさなんて感じない。
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>>サクラさんが入室しました。
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……毎度お馴染みのその言葉によって、私の入室がメンバーに知らされる。
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ユージ>サクラ、おかえりっ
YUKI>おっかえり~。 私も30分くらい前に帰ってきたところだよー
ユージ>俺は待ちくたびれて寝そうだったw
YUKI>あれ? サクラのことが心配で心配で死にそうってボヤいてなかった?(笑)
ユージ>ボヤいてないからw 確かに心配のし過ぎで死にそうだったけどww
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そんな風に言いながら、いつもと同じように笑うユージとYUKI。
ログを見れば、ユージは相変わらず面白い話をたくさんしていて。
YUKIはYUKIで、普段と変わらない『女子大生のYUKI』として笑っていた。
さっき別れたばかりのフジヤマは、当然まだ居ないけど。
でも、ユージとYUKIはここに居る。
ちゃんと、私のそばに居てくれる。