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……




「さーてと、じゃあ俺はそろそろ行くよ。 家まで送らなくて平気?」

「すぐそこだから大丈夫だよ。 フジヤマこそ、警察に捕まらないように安全運転でね……?」

「大丈夫、俺は安全運転しかしないからっ」



えぇー……あんなに荒い運転をしてた人が、よく言うよ……。



「……ほんっとに気を付けてよ? 事故りましたーとか、そういう報告は絶対聞きたくないからねっ?」

「大丈夫大丈夫。 ビジホ着いたらメールするから待っとけなー」

「ん……じゃあ、またね」


「おう、またな」



フジヤマに小さな笑みを見せたあと、車を降りてドアを閉める。


……なんか、あっという間だったな。

チャットしてる時も時間が早く過ぎていくけど、それ以上に早く過ぎていった感じがする。


楽しい時間は、本当にあっという間だね……。



「サクラ」



助手席側の窓が開き、フジヤマの声が聞こえた。



「今日、一緒に居てくれてありがとな。 サクラと過ごした時間のこと、ずっと忘れないよ」

「ちょ、なんかそれ死亡フラグっぽいんですけどっ」

「あははっ、大丈夫だよ死なねぇからっ。 じゃあ、またなっ」


「……うん、またねっ」



ひらひらと手を振ったフジヤマに、私も手を振り返す。

そして、私が車から3歩離れた時、フジヤマは車を発進させた。