「フジヤマっ。 私、誕生日のこと言ってないよね? なのになんで知ってるの?」
ニヤッと笑ったフジヤマは、何も言わずに車に乗り込んだ。
私も助手席へと乗り込み、もう一度フジヤマを見る。
エンジンがかかり、エアコンからは冷えた空気が送り出されてきた。
「ユージも、フジヤマに誕生日の話はしてないって言ってたよ?」
「うん、なーんも聞いてないよ。 でも多分誕生日なんだろうなーって思ってた。 だって二人ともメアドに819って入れてるんだもん」
「あ、そっか……そう、だよね……」
そう言われるとそうだ。
ていうか、私のメアドに入った数字を見てユージが誕生日だって気付いたんだから、フジヤマも気付いたって不思議はない…よね。
「ユージと口裏を合わせて作ったわけじゃねぇんだろ?」
「うん、偶然だよ」
「だよなー。 二人が恋人ならそういうのもあるかと思うけど、どう見てもお前らただの友達だもんな。 ……まっ、今のところは、だけど?」
ニシシッと笑うフジヤマ。
今のところは……って、なんでそんな含みのある言い方をするんだろう……。
「つーかユージに返事しなくていいの? アイツ、サクラからのメール待ってんじゃね?」
「……あっ、忘れてたっ!! ていうかYUKIにもまだ返事してないっ!!」