「……フジヤマ。 もしかしてユージじゃなくてYUKIにメールした? 今、YUKIからメール来たんだけど……」

「え? ちょっと待って、確認する。 ……あー、ごめん普通に間違った。 俺YUKIにメールしてたわ」

「……だよね。 今、YUKIから『会おうか』ってメール来たからビックリしちゃったよ」


そう言いながら、YUKIから来たメールの画面をフジヤマに見せる。



「マジか。 アイツ来んのかよチクショウ羨ましいなっ」

「あの、でも……送る相手間違えたって言った方がよくない?」

「んー、まぁいいんじゃねーの? せっかく来てくれるって言ってるんだし、今回はYUKIと会っちまえよ。 んで、ユージには改めてメールするっ」


「あっ、ちょ、私の携帯っ……!!」

「隙を作ったサクラが悪いっ」



私の手から携帯を奪ったフジヤマは、さっきと同じように頭の上へと手を伸ばしてメールを打ち始めた。

うぅ……こうなったらもう、絶対届かない……。



「フジヤマっ……自分で、メールするからっ……!!」

「そう言って送らないつもりだろー?」

「ちゃんと送るよっ」


「でももう送信しちゃった。 てへっ」

「……『てへっ』じゃないからっ」



どんなに可愛らしく首を傾げても、フジヤマは無精髭の生えたオッサンだ。

全然可愛くないし、むしろムカつく顔っ。