「昔々、きれいな海の見える島に小さな男の子と女の子がいました。

10年後二人は凛々しい若者と美しい娘に成長しました。

やがて二人は渚で出会い恋に落ちました。

けれど、娘は声を失っていて話すことができませんでした。

それでも若者は、娘の穏やかで海のような瞳が言葉よりも大切な何かを語っているような気がしていました。

娘は声が出ない理由が解っていました。

でも、娘は若者に声が出ない理由を話せませんでした。