校門の前にある桜の木が、入学式とともに花を咲かせた。

今日から登校する新入生を歓迎するような、満開の花びらだった。





私より10cm以上高い身長と光に照らされた焦げ茶色のさらさらの髪の毛、くりくりとした大きな目に高い鼻―



雑誌のモデルか何かに出てきそうな彼は、風で散る桜の花びらをぼーっと眺めていた。





このとき、私には周りの空気が全く違うものに感じられた。
此処には私と彼ふたりだけの世界のような、幸せなような、物悲しいような――








私の出来事を変えた瞬間だった。