「それにしても、今回のあんまり手応えなかったなー。」

村を出てすぐ、夏凪翔が余裕の笑みを浮かべて言った。


「いつもあんな感じじゃないの?」


私は初陣だったため宵妖の力があまりわかっていない。


「もっと時間がかかるんだけど、2人掛りだったから還力の消費が少なかったおかげかな。」


夏凪翔には原因もわかっているみたいなので、私たちは別に気にもとめなかった。


なんだかんだ話しているうちにバカでかい屋敷の前に足を止めた。


「本郷...?」

「あぁ本郷本家の元屋敷らしいぞ、なんか不幸に見舞われたかなんかで今の場所に引越したらしい。その時に今の当主の蕾季様の妹ぎみと弟ぎみが亡くなったとか。」

「夏凪翔よく知ってるね。」

「前に爺ちゃんに聞いたんだ。」


夏凪翔の家は昔から神社の神主をやっており、私たちの家は女の子が生まれたら巫女をやっている。

つまり私は神社の巫女である。

神主は夏凪翔のお父さんがやっている。