「なあ賢迅昨日の村長の話だけど。」

「あぁ。」


二人は稽古を終えたらしく川で顔を洗いながら離していた。

その声は私と美夜には十分すぎるぐらい聞こえていた。


「俺あの後夏葉に仮にそうなったらどうすると聞かれた。」

「俺も美夜に聞かれた。」

「賢迅はなんて答えたんだよ。」

「多分夏凪翔と同じ。」

「それって...」


「「俺が犠牲になる。」」


2人はしばらく見つめあっていた。


「俺は夏葉を失いたくない。」
「俺は美夜を失いたくない。」


その時一瞬二人の間に見えない大きな壁が出来たのを私と美夜は感じた。


「でも俺は美夜も賢迅も失いたくない。」


先に重い口を開いたのは夏凪翔だった。