隣から声をかけてきたのは
最近知り合った友だちの男子大学生。
いや、友だちというほど親しいわけでもない。
私はこの春に大学生になり上京してきた。
上京といっても、地元からここ東京までは電車で2時間半。
そう遠いわけではないが、知らない土地ではじめて
一人暮らしをするのは思っていたよりも大変だった。
そんな事情を知る由もなく教授たちは
私たち学生にはやくも中間テストを課してきた。
そのため仕方なく家の近くにあるチェーン店のカフェで勉強をしているのだ。
「それにしても雨、すごいね」
彼の声で私は再び窓の外へと視線を向けた。
「そうですね…」
「また敬語(笑)。同い年なんだから
敬語じゃなくてタメでいいってこの前言ったのに(笑)」
「すみま…、あ、ごめん、そうだった(笑)」