みんなそんなに大事な用事があるのかしら。
わざわざ雨の中外に出掛けるなんて。

まあそういう自分もここまで傘をさして歩いてきたのだが…。


私はいつものカフェの窓際の席に座り、
コーヒーを飲みながら外を眺めていた。
雨が街ゆく人々を濡らしている。
去年のガウチョパンツに続き、
女性の間ではスカーチョというものがはやっているらしい。
世の女性たちはスカートをはきたいのか、パンツをはきたいのか、どっちなんだろう。
ひょっとしたら、自分だけ流行に乗り遅れてはいけないと
こぞってはいているだけなのかもしれない。
 

ぼーっとそんなことを考えながら、
水分を含んで少し重たそうな多くのスカーチョから
読みかけのテキストへと視線を移した。

 
 「こんにちは。」