夕食後、ベッドの上でぐだぐだと雑誌を読みながら夜の静かな時間を過ごす。

耳にはイヤホン。
聴いているのはもちろんShootingの曲。

ふんふんとご機嫌に鼻歌を歌いながら紙面の澪くんを見つめる。

すました顔、くしゃくしゃの笑顔、唇をうーってした顔、切なげな顔……見れば見るほど距離を感じていく。

紙面の澪くんは、動かないし喋らない。



ぶぶぶぶぶっぶーっぶぶぶぶぶぶぶぶ



突然鳴り響いた凄まじい携帯の通知音で私は我に返った。
雑誌を閉じて、携帯を開く。

画面いっぱいに連なっていたのは「東雲澪」の文字。


れ、連絡きた…!?


交換しただけで決してこないと思っていた。
だから信じられなくって、私は何度も光る文字を確認する。


『東雲澪さんから画像が送信されました』


間違いない。


加速する鼓動と、震える指先。
ゆっくりと画面に指を滑らせて、澪君とのトークルームを開く。



『無事に家に着いたかな?
あ、今日の写真送ってみたよ』



大量に送られた写真の後に添えられた二言に私は胸が熱くなる。

友達…嘘じゃなかったんだ。


『おかげさまで無事に着きました!
それにしても、こんなに写真があるならアルバム機能使えばいいのに』


私は一文字一文字を丁寧に打ち込んでいく。
少しだけ迷って、送信ボタンを人差し指で押した。


1秒、2秒、3秒……


私の周りの空気が無くなってしまったかのように息が苦しくなっていく。