「でも、内緒にするって約束したから」
私は澪君との指切りげんまんを思い出した。
命に代えてでも守らなくちゃいけない。
「んじゃあ、おばさんに密告しよーっと。
おばさん激怒だね〜。
その上2度とコンサートに行かせてもらえないかも」
うぅっ。
コンサートに行かせてもらえないのは死活問題だ。
でも、澪君と約束する前にさらっと紗乃ちゃんに教えちゃったし……
「なーちゃん、誰にも言わない?」
「言わないよ」
「ネットにも書き込まない?」
真剣な私にため息をついたなーちゃんは、少し寂しげな目で私を見つめた。
「私はね、これでも紘那の1番の理解者でありたいって思ってるんだよ」
そうだよ。
なーちゃんは昔から私の話をよく聞いてくれた。
辛い時とか、苦しい時。
もちろん嬉しいときも。
隠しカメラでもあるんじゃないかっていうタイミングで電話をかけてきてくれた。
めちゃくちゃな私の話を、聞き流さずに何時間でも付き合ってくれて、最後には的確なアドバイスをくれる。
そんななーちゃんを疑うなんて、私は馬鹿だ。
澪君には今度…今度もし話す機会があったら、ちゃんと説明しよう。