それから私はライブのグッズを置きに二階の自室へ向かった。


部屋には相変わらずたくさんの澪君。

少し前まで一緒にいたんだよなぁ。
遠いようで近くて、近いようで遠くて、なんだか複雑な気持ちになる。


携帯には澪君の連絡先がある。
一緒に撮ったプリントシールもある。


それなのに、一緒にいた時間を思い出すと、胸がきゅーっと苦しくなる。


携帯を見た。

澪君の連絡先を開く。


メッセージは無い。


ガラッ


扉が開く音。

私はぱっと振り返る。


「よっ」


入ってきたのは従姉妹の真野渚(まのなぎさ)。
群馬県内の大学に通うために、去年から私の家に居候している。

本来は私よりずっと都会に住んでいるから、やることなすことが都会っぽくて、私はちょっと羨ましい。

家は少し距離があるものの、お正月やお盆に会うたびによく遊んでいたのもあって、私は彼女を本当の姉のように慕っている。