なーちゃんは、ドアに手をかけたまま、目を丸くして私の向こうを見つめていた。
澪君の方を振り向くと、彼は毛布を被ったまま、驚いた顔で目をパチクリさせている。
「え…ちょ、ま……え?」
声が出ないなーちゃんは、口をパクパクさせながら私を見つめた。
「紘那。この人、紘那のお姉さん?」
澪君は毛布からもぞもぞと手を出すと、なーちゃんを指差した。
「あ、違うの。従姉妹なんだけど、大学に通う間はうちで居候してるんだ」
私は固まるなーちゃんと、そんななーちゃんに興味津々といった様子の澪君を交互に見ながら言った。
「へぇー!!紘那、渚さんと従姉妹なんだ!!どうも、俺、東雲澪です」
澪君はなーちゃんの方に向き直ると、ぺこりとお辞儀をした。
なーちゃんもつられて頭を下げる。
「Shootingのみんなで渚さんのダンス動画見たことあるんすよ。本当、かっこよくて、今度俺たちの曲にも振り付けしてほしいねなんて話してたんです」
にこにこ話す澪君の目はキラキラと輝いていた。
やっぱりダンスをやるもの同士、分かり合えるところがあるのだろう。
ダンスとは無縁の生活を送っていた私には、全く分からないけれど。
でも、なーちゃんのダンスがかっこいいのはよく分かってるし、なーちゃんの振り付けも本当に可愛い。
なーちゃんの可愛い振り付けを踊るShootingを勝手に想像して、私はなんだか幸せな気持ちになった。