「えぇー?話すの恥ずいんだけど」
「私、ちゃんと言ったもん!」
澪君は、「仕方ないなぁ」と口を尖らせながら、眉を八の字にして、それから口を開いた。
「俺ね、すっげー人気無かったの」
私のことが好きな理由は、衝撃的な一言から始まった。
「え…?」
「ライブとかやってるとさ、分かるんだよね。うちわとか、ペンライトの色で、自分のファンがどのくらいいるかって。……蒼も春も悠も、それぞれファンがいる中で、俺のファンだけ、なかなかライブで見つからなかったんだ。グッズの売り上げもさ、びっくりするくらい悪くって…」
寂しそうに笑う澪君。
そんな顔、初めて見たよ。
「悩んで、嫌になって、寂しくなって…心のどこかで俺は卑屈になってた。この現状を自分で変えようともせず、ただ1人、いじけてたんだ」
澪君は天井を見上げた。
アイドルスマイルの自分と目が合ったのか、恥ずかしそうに目を逸らす。
「そんな時に、紘那を見つけたんだ。ライブで、俺を呼ぶ声が聞こえて。俺、嬉しくなっちゃって、たくさんファンサービスしちゃったんだ。久しぶりに見た俺のファンを喜ばせたくって。もっと好きになってほしくて」