「澪君、お昼食べてくでしょ?
今用意するから、紘那の部屋で待っててよ」


お母さんはニヤニヤ笑いながら立ち上がる。

待って、待って待って待って待って!!

お母さん、もしかしてそれ、気を利かせたつもり…?

私の部屋、今どんな状態か分かってるよね…?


私の部屋は、常に澪君でいっぱい。
天井にまで澪君がいるのに、そんなオタクルームに本人を入れられるわけがない。
引かれるか、嫌われるかの2択である。

せめて客間とかにしてくれたらよかったのに!


「あ、え?私の部屋?」


「そうよ。今朝も綺麗に片付いていたじゃない」


知ってるよ!
だって、いつ紗乃が遊びにくるか分からないから、いつも綺麗にしてるんだもん!!
てか、綺麗とか散らかってるとか、そういう問題じゃないでしょーが!!!


「わぁ!紘那の部屋、楽しみ」


「行こーっ?」と私の手を引いてリビングから出ようとする澪君は楽しそう。
私は涙目で首をぶんぶん振る。
そんなのお構いなしのお父さんは、私の部屋の場所を具体的に教えちゃって…もう終わった、私の恋。