「じゃあ、紘那も来たし、改めて挨拶させてください」
澪君はそう言うと、ぴんと背筋を伸ばした。
私もつられて姿勢をよくする。
お父さんもお母さんも、ちょっぴり真面目な顔をしたけれど、その表情は、優しさを隠しきれてはいなかった。
「俺は本気で紘那の事が好きです。お父さん、お母さん。紘那さんと、結婚を前提に付き合うことを許してください!」
深く頭を下げる澪君に、私は硬直してしまう。
今……なんて?
結婚を……前提に…?
「仕事の都合上、すぐにはお嫁さんにもらえないかもしれません。でも、必ず幸せにするんで」
澪君は私を見つめながらそう続けた。
真剣な澪君の眼差しに射抜かれそうになる。
「やらん!」
は?
私はお父さんに素早く視線を移した。
険しい顔をしてるのかと思いきや、両手で顔を隠してにやにや笑っている。
気持ち悪い。
そんなお父さんを見て、お母さんもつられて笑う。