リビングに近づくほど、楽しそうな話し声が聞こえてきた。 おかしいな、訃報じゃないのかな。 探偵気取りで私は頭をひねる。 じゃあ、お母さんかお父さんの友達…とか。 私はリビングの扉を開けた。 冷え切った廊下と、ストーブで温められた部屋の気温差で、身体がピリピリしびれた。 いや、本当はそんなことは痺れの原因じゃなかったのかもしれない。 「おかえり、紘那」 ずっと、ずっと聞きたかった声に、私の目が熱くなった。 まさか…