数分後、店員さんが箱を両手で持って戻って来た。
白い箱に、青のリボン。
『青は澪君の色だから、一番好きなの』と笑う紘那の顔を思い出して、胸が熱くなった。
心に熱湯を注がれるような、そんな感じ。
「それで、文字盤の裏に刻まれた暗号って、どういう意味なんですか?」
まだ俺のことに気づかない店員さんは、いたずらっ子のような顔で、ハットの奥の俺を見る。
「そりゃ、内緒です」
俺は腕時計の箱が入ったショッパーを受け取ると、冷たい外の空気の中に足を踏み出した。
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