あたしは買い物に行き

ハンバーグとシチューを作った

もとろんワインも・・・

塁はいつになくご機嫌で

初めてのワインだあ!って

はしゃいでた。

この時だけは塁を身近に感じた。

食べ終わって一息ついたとき

「俺ね、今一番大変な時なんだ。

でも学校ちゃんと卒業したいし

自分に負けたくない!

ここで勉強させてもらって

ほんとに助かってるんだ。

お前に世話になってばっかで

俺何にもできないけど

待っててほしいんだ。

5年後10年後はきっと

きっと、今よりは幸せにできるから。」

そういってテーブルの上に

シルバーのリングと

鍵の形をしたペンダントを置いた

「今はこんなものしか

買えないけどつけてくれる?」

と、自分の胸を指差した。

塁の胸元には・・・

お揃いの鍵穴のペンダント。

「ユラが鍵だよ。俺の心の鍵。」

そういって微笑んだ。