駅はむせ返るほどの

湿気と人の波で

いつもより温度が高い気がした。


駅ビルは急に降り出した雨で

混雑していた。


一本の傘を求めてあたしは

小雨の中を外へ出てみた。

確か少し行くと

コンビ二があったはず・・・

うねる前髪を気にしながら

やっとビニール傘を見つけて

外へ出た瞬間に

誰かに呼び止められた。


「ねえ、君。どこ行くの?」