「あんた、るいって言うの?」


うさんくさそうな顔で聞いた。

「あ、そうそう、

名前まだだったね。」

ポケットから名刺を出して

器用に指先にすべらせた。

「いらないっ!

どうせ本名じゃないしっ!」

口を尖がらせて押し戻すと

「だめだめ!

人からもらったものは

ちゃんと残さずにもらうの!」

「は? 訳わかんない!」

「本名は陽平だよ。」

耳元で囁いて

あいつは勝手にあたしの

バックのポケットに入れた。

「こういうの、ウザイ!!」

まっ、二度と来ないからいいや!

営業スマイル満点で

ナオがグラスに焼酎割りを作る。

「ね、ね、何怒ってたの?

塁がキャッチしてくるなんて

こいつの下手なトークで

よく来たねっ!」

余計機嫌悪くなる。

「騙されたんですけどっ!」

「だってさ~

こんな仕事してんのに

塁ちゃん、女嫌いっつうか

めったに誘わないんだよ。

ヘルプ専門なんだもんね~!」

「なんだよ~!

ヘルプをバカにすんな~(笑)」