「もう帰っちゃうの?」

「え?」

「もう帰っちゃうの?」

あいつは同じ言葉を繰り返した。


「うん。

てか、あんた、さっきの・・・」


さっきの路地裏の少年だった。


「やっぱ、見てたんだ。」

「うん。ごめん。」

「いや、別に謝るとこじゃないし。

それより、少し時間ある?」

「え?さっきの彼女は?

泣いてたみたいだけど・・・」

「いや~、いろいろあってさ。

ちょっとだけ付き合ってよ。」

さっき見た時より

今目の前にいる彼は

背が高く筋肉質に見えた。

二十歳くらいか・・?

その無邪気で可愛い笑顔に

不覚にも、引き込まれそう。

やばい!

心臓がドキドキ脈うってる。


服装のせいか

少し目にかかった天パーが

彼を大人っぽく見せている。

よく見るとスーツが大きい。

何となく不釣合いで

着慣れていないように見えた。