「お母さん、帰ってきたよ。
ずっとお墓参り来れなくて
ごめんね。
お母さん、そっちはどう・・?」

そこまで話しかけた時
ふっと優しい風が吹いた。

葉桜がそっと風になびいた。
墓石に散った桜の花びらが
舞い散っている・・・

あたしは急に母に
甘えたくなった。

「母さん、あたしはずっと
頑張ってきたよ。

だけどね、やっぱり寂しい。

あたしは一人ぽっちな気がするの。

大好きな人ができたんだ・・・

ほんとに大好きだった。

なのに、なのに・・・」

あたしは、誰もいない墓地で
泣き始めた。

誰の前でも見せなかった
自分の弱さ。

錬を守ることを支えに
生きてきた・・・