遅く生まれた末っ子の
錬太郎を、溺愛していた。

だから錬は今も十分甘えっ子だ。

あの泣き虫の錬が
医学部に入ったことを

生きていたらどれだけ
喜んだだろう。

もしかして・・

母が錬を
この地に呼び寄せたのだろうか?
錬の大きくなった姿を
見たかったのかな・・・

もうあたしはとっくに
追い越されたよ!


錬は母に面影がよく似ている。

端正な顔だちに
ちょっと憂いを含んだ目。

男のくせに
妙に繊細なところまで・・・

憎らしいくらいに
母さんを受け継いでる。