それから程なくして
塁のお父さんは亡くなった。

電話の向こうで塁は
泣いていた。

お父さんは九州の人だから
これから納骨に行くと
言っていた。

あたし達を飲み込むばかりに
激流のような波が押し寄せ

そして・・・

また春が来た。

塁はこの時から
本当の意味で自立へと
歩き出したような気がする。


塁、21歳の春。


知らぬ内に押し流されて
抵抗することもできず・・

変化する状況と共に
あたし達の関係も
変わろうとしていた。