聞き覚えのない声に振り向くと、大学生くらいに見える二人の男の人。
髪の毛は茶色に染められていて、耳にはピアス。
「は、はい...」
「俺らが買ってあげるから、一緒に遊ばねぇ?楽しいことしてあげるから、な?」
な、何それ!
「いやです...」
「そう言わずにさぁ、な?」
腕を掴まれそうになったその時。
「俺の女に何してんの?」
「そ、颯真!」
不機嫌な顔をして、怒りがわかりやすく面に出ている颯真。
「なんだよ、彼氏いたのかよ。おもんね」
そう言って2人はいなくなってくれた。
「何勝手に行ってんだよ」
「ごごめんなさい」
すると、もう1度手を握った颯真。
まるで付き合ってるかのように指と指を絡ませてきた。
「もう離すなよ」
「うん」
そんな颯真に嬉しくて。
颯真のこと、好きなんだなあって。
今私はここで自覚してしまった。
そんなことされたら期待しても...って思っちゃうよ。
そのあと、ずっと颯真は私の手を握り続けて、お昼ご飯の時以外、離すことはなかった。