「さっきはごめんね、驚かせちゃって。
実はあれ、演技なんだ」
「……へ?演技?」
「うん。ほら、いつものこんな口調じゃ
なめられるかなって思って」
そう言って、雅人くんは
困ったように頭をポリポリと掻いた。
「茅ヶ崎さんと菜々海が重なってさ
いてもたってもいられなかった。
でも、どうせ助けるなら
相手になめられるのも癪だし…」
「あ、そうだったんだ…!
うん、そうだよね!!」
もう1度言うけれど
わたしが知っている雅人くんの第一印象は
いかにも優等生って感じだ。
さっきの乱暴な言葉は、あくまでも演技で…。
そう思うと、わたしは妙に納得した。
それにしても、菜々ちゃんって
本当に愛されてるんだな……と
思わず微笑ましくなる。