「はぁ?なんだおまえ。偉っそうに」


「まじな、喧嘩売ってんのかよ」


ピリピリした雰囲気に、はっと我に返る。


そしてわたしは、目の前にいる
知らない人の腕を咄嗟に掴んだ。


「に、逃げましょう!」


「……え?」


そして、わたしは
彼の腕をぐいぐい引っ張って
人の多い場所へと走った。


「おい!待てよおまえら!!」


「逃げてんじゃねーよ!」


後ろから聞こえてくる怒鳴り声に
わたしはブルッと震える。


「ひっ…追いかけてくるっ…!」


情けない声で、思わずそんなことを呟くと…


「…こっち」


「わっ……」


気付けばいつの間にか、わたしの方が彼に
腕を引っ張られていた。