すると、なぜか頭上から
京ちゃんの盛大なため息が聞こえた。


「あーもう。ほんとおまえやだ」


「えっ!?」


「……なんでこんな鈍いんだろ…」


と、京ちゃんはボソボソと
何かを言っている。


だけど。


さっきわたしのことを『やだ』なんて
言っていたのに…


抱きしめる腕は、
なぜか離してくれなくて。


京ちゃんの『矛盾』に
わたしは思わず、ふっと笑ってしまった。