いいな…


綺麗な髪…


授業中うっとりと
前の席に座る頼千の髪を見つめていた私は
先生に指されていることに
気づかないでいた。


頼千が後ろを振り向き
私の名前を心配そうに呼ぶ。


私は一気に現実に引き戻され
いつの間にかペンを持っていたはずの
左手には鋏を握っていた。



私は何事もなかったかのように
先生に当てられた問題を答え
また視線を頼千の髪にうつす。


ここ最近長い髪の毛を見ると
無性に切りたくなる。



授業が終わり頼千が
「聖…大丈夫?さっきボーとしてたみたいだけど?」と心配そうに聞いてくる



「ちょっと考え事してたんだけど
考え事に集中しすぎて
先生に当てられてることに
気付かなかったみたいw

頼千、教えてくれてありがとうね」
と微笑んだ。