だから、なんでそーなるの。

閻魔にとったら、私なんてとるに足らない存在だろうし、閻魔帳だって返したんだし骨折り損なんじゃないの?

閻魔帳持ってサッサと帰った方が楽じゃん。

意味がわかんない、不気味。

「なんで?」

閻魔は訝しげに眉を寄せる私に、少し咳払いした後ニヤリと笑った。

「何故か?そんなの決まってるだろ」

閻魔は更に不敵な笑みを浮かべた。

「魔物を倒したとなると、箔がつくだろ。ますます女にモテる」

どうしようもないな、コイツは。

「女と切り離して物事考えられないのか、あんたは」

私は呆れながら閻魔を睨んだ。

「死にたくなけりゃ、言うこと聞いとけ」

はいはい、信じてないけどな!

この時の私は自分が何かに取り憑かれてるなんて自覚がなかったし、閻魔の口からでまかせだと思っていた。

そう、閻魔の口からでまかせ。

すぐに帰るのもなんだから、ちょっとした旅行でもしようかと、その為の口実。