「平気か?」

「あ……うん、多分」

私を見る黒に近い紫の瞳が、なんか優しい。

……もしかして、私が倒れちゃったから帰るの遅れてるんじゃ……。

私は、起き上がってベッドの上で胡座をかいた閻魔に口を開いた。

「あの、ありがと」

「なにが」

「だから……ついててくれて」

私がそう言うと、閻魔は一瞬真顔になってから、爽やかに笑った。

瞳を優しく光らせて、男らしい清潔そうな口元を少し引き上げて。

制服姿も手伝ってか、眼の前にいる閻魔はどこからどう見てもただのイケメン男子高校生で、とてもじゃないけど死者の国から来た閻魔大王だとは思えなかった。