その時、急に近くに足音を感じて、私は顔をあげた。

次の瞬間、フワッと身体が浮いた。

「っきゃあっ!」

息を飲んでこっちを見つめる高木君が真っ先に視界に入って、それからすぐに私を荒々しく抱き上げた閻魔の顔が見えた。

至近距離からこちらを見下ろす閻魔の顔が不機嫌マックスで、私は混乱して硬直した。

なんで?!何で急に閻魔が来るわけ?!

で、なんで私を抱き上げて怒ってんの?

張り付いたように見上げる私をしばらく閻魔は睨んでいたけれど、やがて小さく息をして目元を優しくした。

「心配させんな」

閻魔の甘い息と、髪に押し付けられた彼の唇。

やだ、うそ。