あの日から私はあの人の姿を見かけるたびに、なんだか照れくさくなった。
胸がきゅーっとなる。
「…おり〜?かおり〜!」
はっ!!
「ご、ごめん!」
「最近ずっとそーだよね〜何かあったでしょ?」
(さなえはやっぱり鋭い)
「うん…まぁ…」
「なになに?これは恋愛系だっていうのはもうわかってるけどね〜」
「そー、その通り…なのかな?」
「なのかな?って?笑」
さなえはよほど気になるのか興味深々に聞いてくる。
「実は、ね、こないださなえより先に帰った時あったじゃん?」
「うん」
「その時に男の子にぶつかっちゃって、」
「その人にドキドキしちゃってるってことか笑」
「ま、そーゆーこと。」
「で、誰なの?名前は?クラスは?」
(あ、知らない。誰なんだろう。)
「でも、下駄箱一緒だから同じ学年だと思うんだよね!」
「そーなんだ!じゃあ私が調べといてあげようか?笑」
さなえは口数が少ないものの、SNS技術はピカイチ!こーゆーことを詮索してくれるのはいつもさなえだった。
「ほんとに!?ありがと〜お礼に帰りにアイスおごってあげる〜♡」
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次の日
「かおり!かおり!」
朝からさなえが息を切らして向かってきた。
「さなえ!どーだった!?」
「わかったよ!あのね、2組の、川谷たつや(かわたにたつや)くんっていうんだって!」
(川谷たつや…くん…かっこいいな〜)
「さなえ!ありがとう〜ほんと!」
「でも2組だから、上の階だよね〜かおり会う機会あんまりないんじゃない?」
(確かに…)
「だよね…」
「まぁでもかおりは控えめな子じゃないし大丈夫でしょ!」
「あ、ありがとう笑」
放課後
「かおり!川谷くんの誕生日あと3日らしいよ!」
「すごいねさなえ、もうそんな情報まで笑」
「何言ってんの〜、何かしなくていいの?誕生日だよ?アピールにはもってこいじゃん!」
(そーだよね…チャンスだよね!)
「私ケーキつくる!」
「え!?かおりが!?大丈夫?」
私はお菓子はもちろん料理なんてしたことがない。
「大丈夫じゃないから、さなえ手伝って〜♡」
「しょーがないな~笑」
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「やっと完成した〜」
何度も失敗してやっと完成した!
夏だからレモンケーキでさっぱりしたケーキにしてみた!…けど、味の保証はできない。
喜んでくれるかな…?
「かおり!初めてにしては上出来じゃん?あとは、どーやって川谷くんに渡すかだよね〜」
ここは、私の専門分野(笑)
恋のテクニシャンだもんね~(笑)
「前日にLINEで言っとく!『明日ロッカー見てね』って」
「LINE!?あんたいつの間に川谷くんのLINEもってたのよ(笑)」
「いや、普通に学年のグルから追加できるしー。」
「そーゆーことか。まぁここからはかおりの得意なお誘いパターンだから頑張ってね☺︎︎」