五月だとしても外で体育をやれば汗はかくなぁ。
ベタベタだ。



凄いよね、女子のみなさんはおねだりまでして仁科海人の上半身裸を見ようとしてたもんね。
それを躊躇なく見せる仁科海人も凄すぎるよな。 よく分からない⋯⋯。





体育が終わると東日高の王子がいないクラスでは王子の話題でいっぱい。
制服に着替え、教室に戻るとさっそく聞こえた『仁科』



同じテニスだった子が、違う種目の子に自慢げに話す。
ハイタッチしたんだぁー! ってね。



呆れというか。 なんか楽しそうに見えてきちゃった。



私も中学の時はあそこまでじゃなくても、カッコイイ人の話したもん。

別にしたからってどうこうなるわけじゃないけど、⋯⋯なーんか楽しいんだよねぇ。


今は近付くことさえ難しいのにな。




机についてじっと座っていると、嫌でもあの二人の話題が耳につく。



テニス部でもないのに様になってた。

笑顔が可愛かった。

汗かいても爽やかだった。



入ってくるのは褒め言葉ばかり。


でももう少し聞いてみると⋯⋯、



「てかまじ仁科かわいんですけどー」

「それなー、あとで一組行こっか」

「それいいー!」



僅差ではあるかもだけど、よく聞くのは仁科海人の名前。


女子サービスが多くて、あっちから話しかけてくれる仁科海人の方が人気なのかな。



でも岡崎泰正は頭もいいから、よく少女漫画である〝イケメン〟〝運動神経いい〟〝頭がいい〟の三大要素を兼ね備えていると考えれば、凄すぎるというか。



そうなると逆に人間味を感じない。

非の打ち所がない感じ⋯⋯化物かな。




「⋯⋯私は何を考えてるんだろう」


ボソリと呟く。




男嫌い以前に、初対面の人をまず敵と見るこの癖。

私は癖多すぎかっての。




こんなんだから私ダメなんだよなぁ。