お気に入りのアーティストの歌を聞きながら、シャーペンを動かしていると──



──ポンポンっ。いきなり肩を叩かれた。


「もしかして、莉乃・・・・・・?」


この声は、────。!!!


「奏汰っ!?ビックリさせないでよっ!!ていうか、何でいるのよ!?」

そう──・・・。
こいつこそが私の・・・・・・




気になってる人─────。


「ここ、俺の定位置。そーだ、せっかくだし課題見せてよー。」


はぁぁ・・・・・・。
こんな所で会うなんて・・・。



この、いきなり声をかけておいて、失礼極まりない人物が、私の気になっている人。

名前は、永島 奏汰(ながしま そうた)。


一言で言ってしまえば、『変人』だ。

例えば、授業中にいきなり歌を歌いだしたり・・・。
もちろん、音楽の授業ではない。

しかし、なぜかモテる。顔は特別カッコイイわけでもないのに!

確かに面白くて、話しやすいが・・・。

そして、いちばん憎たらしいのは、とっても勉強が出来るところだ。

課題は答えを丸写し。

授業中は、寝てるか、奇行を行うか──。

なのに、先生からの信頼もある。

私は、奏汰に追いつこうと頑張っているのに、勝てた試しがない。

しかも、運動神経も文句ナシ。

私の得意な水泳だって、いつも僅差で負けてしまう。


これ以上はやめておこう。



そろそろブラックな言葉が飛び出してしまいそうだ──。



「おーーい!莉乃ー?無視するなよ〜!」

「分かった!分かったから!!課題見せればいいんでしょ!?」



こんなヤツを好きになるなんて・・・。



──私のバカっ!!!