「…っ、とあった!」

自動販売機結構遠かったな、いちごオレあるかなぁ…

「あ!あった!よかったぁ…」

ん、あれ?みんなって何好きなんだろう?
どうしよう、何買えばいいかわからないよぉ。

「……」

こうなったら!


ガコッ


「えへへ」

みんな私の好きないちごオレにしちゃったけど大丈夫かな。きっと甘くて元気になるよね!

私はいちごオレを四つ抱えて急ぎ足でみんなの所に戻る。
けど、

「遥太…」

まっすぐ前には遥太の姿が見える。
でも遠い。私たちの心みたいに。
遥太、遥太…

「遥太!!!」

私は無意識に叫んでいた。
寂しくて、でも会えて嬉しくて泣きたくなった。
遥太は気づかずに行ってしまった。

「よう…た」

きっと遠かったから聞こえなかったのよ。
そうよ。
名前を呼べば飛んでくるヒーローでもあるまいし。そうよ、そう。

─私の声、忘れちゃったの?─

ちがうちがう!遠かったのよ。きっと。
そんなことないもん。
今までずっと近くにいたじゃない。
忘れるわけないでしょう?


ジワッ


「泣くな泣くな泣くなーっ!!!」

私はぺしぺしとほっぺを叩いていちごオレをひと口飲んだ。

「味、しないよ…」

その時飲んだいちごオレは全然味がしなくて悲しさが溢れた。
私の心をうつしているみたい。
遥太に会えない数日間は何をしていたか覚えていない。私の心の日記は真っ白のままだった。

ふと、優梨に会いたくなった。
私は涙が出てきてこぼれないように上を向いた。空は青とオレンジのグラデーション。普段見たらきれいなんだろうな。