俺は驚いて、
うつぶせになっていた体を勢いよく起こした。



教室のみんなもザワザワし始め、
視線が美保の席に集まる。



「‥‥‥居ない」




朝は見ていなかったから俺は気づかなかったけど、
美保の席はがらんと空いている。




「倉田は先週末に引越し先の新しい家に行っていて、
今日からH県の高校に通うことになっています。


倉田からの希望で、クラスのみんなには伝えないまま転校ということになりましたが‥‥
正月などにはこっちにも帰ってくるということです」