‥‥それにしても懐かしい夢だったな。
美保とナオトが、付き合うことになった時の夢。
『おめでとう、良かったな!
二人がうまく行ったなんて、俺も嬉しいよ!』
嬉しそうに笑う美保に、俺はそう言った。
‥‥‥でも、そんなの大嘘だった。
二人がうまく行って嬉しい、なんて。
だって俺は、
美保を好きだったから‥‥。
だけど俺は、
精一杯の笑顔を作って、
『おめでとう』と
何度も何度も、言った。
ナオトと付き合えることになって
あんなに嬉しそうに笑う美保を見たら、
俺のちっぽけな気持ちなんて、
伝えられるはずがなかった。