ピピピピッピピピピッ

「んー…」

ピピピピッピピピピッ

「うるさーい…」

「ほら、唯!起きなよ!」

いい夢を見ていたあたしを叩き起こしているのは恐らく未唯だろう。

寝ぼけていてぜんぜんわからないけど、こういうときしっかり者の未唯が行動するのだ。

「ん〜…もうちょい〜…」

「ほーら!!遅刻するよ〜?」

いつも、こんな感じで朝が始まる。

「ふぅ〜」

あたしは、洗面台で顔を洗うときが好き。

洗顔で洗うと顔がさっぱりするから。

そして、服を選んでメイクをして香水をつけることときが、好き。


リビングにいくと、未唯があたしの朝ごはんも作ってくれている姿が見えた。


「あれ、千尋は?」

すると、すべて支度がおわりごはんをテーブルの上に置いてあたしの目の前に座った未唯が口を開いた。


「夜勤だったらしくて、いま爆睡中」

「看護師って大変だねえ〜」

「なに、言ってんのよ急に」

「いや、ほらねあたしなら無理だなあとおもってさあ、だって夜勤てお肌に悪いし、デートもろくにできないじゃんか」

「ほんと唯は男のことばっかりなんだから」

「恋してないと可愛くなれないもーん」

「はいはい、だらしなさすぎて刺されないようにね」

「はいはーい、じゃ、いってきまーす」

佐倉 唯 24歳。独身。彼氏はいない。

仕事は、渋谷109のyoloというブランドの店長をやっている。

高校を卒業してから、バイトで働き始めて23で店長になり、今年で2年目だ。

いまの仕事は大好き!!

メイクもファッションも大好きでこの仕事に誇りを持っている。

「おはよーう」

「おはようございます!」

店舗に入ると、あたしよりも先に店の掃除をしていた副店長の、ゆりちゃん。信頼できるメンバーのひとり。


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