しかし、逆効果に彼女は余計断りにくくなってしまったようだ。
優しい彼女の事だ、困っている人を前にしてほっとけないのだろう。
そんな沙羅が好きだ。
でも、今回は黙っておけない……
ついに俺は言ってしまった……。
「俺は反対」
「……え?」
俺の発言に彼女どころか先輩も驚いていた。
俺らしくない行動だろう、でもこれだけは黙っておけない。
バイトなんて彼女がしたら変な男どもが寄ってくるに違いない。
「先輩、悪いけど沙羅にバイト進めるのは諦めて」
「……え、でも沙羅ちゃんは?」
「俺が嫌なの、だから諦めて」
ここまでくるともう止まらない。
彼女の了解を得ずにバイトを強制的に断った。