"生きることは尊い"
その意味を、貴方と出会って初めて知ったよ。
----舞台は、世界技術の発展し始めていた時代に遡る。『オリガス』と『エキストス』、二つの国に分かれた世界はお互いが国を一つに統括しようと、日々戦争となっていた。
技術革新が起こり、数多の武器が開発された二つの国の狭間で"彼ら"は闘った。刀を使い、槍を使い、銃を使い、はたまた体術を用いるなど、戦い方は様々であったがいつも決着は着かないまま、100年の時が経とうとしていた。
そんな世界の一部にて。
「まあ、決着なんて永遠に着かないでしょ」
「………それ上の奴等に聞かれたら殺されんぞお前」
「そうかなー、だって私、とりあえずオリガス側にいるだけの浮気者だしな」
「忠誠心の欠片もない女だな相変わらず、」
「なんて褒め言葉!ありがとボエロ。今日は高いお酒頼んであげるよ!」
「なんで罵られて喜んでんだよ!」
ニヤニヤと笑い零す女、アオはボエロと呼ばれる酒屋の店主の前に多めのお金を差し出した。
アオの懐の緩さは天下一品、しかしそれとは逆に彼女はとんでも無く金の無い女でもあった。
しかしいつもボエロは常連客のアオに弱く、彼女が無一文であってもお酒は与える。(その代わり皿洗いを要求している)
食べ物だって、情報だってなんだって彼女の力となるのだ。店主だけではない、此処にいる従業員総勢3名という少数体制だが、皆、オリガスという国よりも、彼女自身の味方なのである。