カルラは強い者に他人がドン引きする程興味を持ってしまう、厄介なタチであった。そこは「もう一人の」血縁者と、やはりどこか似ている。逆に弱い者には興味を一切持たない、己の強さを知っている者ゆえの性格も持ち合わせていた。
「『流れ者』『出身地不明』『悪運』『刀の天才』……か。面白い」
「か、カルラ様?」
ーーー幹部一同、久しぶりに見る彼の笑みに、嫌な予感がしたのは言うまでもない。
場所は変わって太陽が真上に到達しそうな頃。
帝都最大の質屋の前でアオとギルは、馬鹿でかい看板を見上げていた。
「…悪趣味な」
ボソッとつぶやいたのはギル。確かにガッタガタの土台に、如何にも年季が感じられる『グルーリーの質屋』と書かれた看板は妙な雰囲気を出していた。店の外にまで者が溢れているため、中は相当ごちゃごちゃしていそうだった。
「年代物の宝石箱、剣、錆びついた刀、動かなそうな古時計…なるほど、掘り出し物は確かにありそうだね」
「アオ。とりあえず中入ろう、寒い」
寒がって震えているギルをジト目で見据えてから、足を一歩店に踏み入れてみる。
カウンターは奥か、そこまでたどり着くのになんて狭い道幅だ。物を置きすぎである。