先生達の、話が終わったあと、待っていた恵子と、二人で帰る。
今日は、俺が前を歩き、恵子が後ろを付いてくる
「先生、何だって？」
「んー？、監督が、責任とって辞表をだしたって」
「えーっ！監督やめちゃうの？」
結構、有名人で、全国でも、名将とか言われて、監督のもとで野球がしたいって県外から入学してくるヤツも多い。
「まあ、引き止められてるみたいだけどね」
「ふーん、その他には？」
「あとは、今後の話とかかな」
「今後って？」
「んー？、進路とか」
「進路って？」
「んー？、何人か、プロから誘いがあるヤツもいるしらしい、進学するなら、推薦とかもあるし、就職するなら・・・とかな」
「隆は、どーすんの？」
「んー？、まだ、全然、実感わかねーなー、夏休み終わってから、進路相談があるから、そん時までに、考えておけってさ」
「ふーん」
「お前は、どーすんだよ？」
後ろを振り替えると、恵子に聞いてみる。
「あたし？、あたしっすか？とりあえず、大学行って、それから、考えるかなー」
「って、お前、大学いけんのかよ？」
「失礼な人ですねー、どっかの野球馬鹿と違って、成績優秀、才色兼備の、恵子さんで有名なのよ」
後ろから、走ってきて、頭をポカッと殴っていく。
「痛ってーなー、才色兼備ってなんだよ」
「いい女ってことだよ」
並んで歩きながら、恵子が、自分のことを指差す。
「ばーか！意味くらい、野球馬鹿にも解るんだよ。誰が才色兼備だって聞いてるんだよ？」
「お前の目の前に居るだろ！」
さらに、ほれほれって、自分を指差す
「どこどこ？」ってキョロキョロと探すふりをすると、
ちょっと待ってといって、自転車のスタンドを立てる。
なんだ？と思いながらまっていると、俺の顔を両手で掴み、
「見えるかー？あたしの事だよー」といって、顔を近づけた。
「おぉぅ、見えました」
あまりに、恵子の顔が近くにきたから、スゲー、ドキドキした。
「判ればよろしい」 そう言うと、恵子は、自転車に乗り、またなーって言って先に走って行った。