部屋の壁には、目指せ甲子園って、ベタな張り紙、ベッドに寝転んだ俺の目の先には、お気に入りの、女性アイドルグループのポスター
(結局、休んじゃったな)
親も、休むって言ったら、ぎこちなく、今日くらいはなって言ってた
時計を見ると午後4時になるくらいだ
(いつもなら、今頃は、汗と、泥まみれになって練習してる時間だよな)
ピンポー
玄関の呼び出しチャイムが鳴った
(留守だよ)
ピンポーン
しばらくたって、もう一度
(留守だってば)
ピンポーン、ピンポーン
(うるさいなー、いないってば!)
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンピンポーンピンポーンピンピンピンピン・・・
連打された
玄関まで走って行き、ドアを開けなから
「恵子、うるさい!」
チャイムを連打中の恵子が、驚いたように、おぉっ!っとのけぞり
「居たんだ」っと、ビックリしている
「おまえな~、居ないかもと思いながら、連打してたのかよ」
俺の横をすり抜け、恵子が、勝手に上がりこんでくる。
「サボりのくせに、うるさいよ。野球馬鹿は、サボっても、やることないから、家に居ると思ってたのさ」
迷いなく、俺の部屋に入り込んで行く
俺は、坊主頭をガリガリとカキながら
「隣近所の幼なじみで、野球部の投手とマネージャーなんて、どこの、スポーツラブコメだよ?」
「スポーツラブコメだったら甲子園に連れてくれたんだけどね」
ベッドを占領した恵子が、ベーッと舌をだしながら言い返してくる。
「おまえな~、傷口に塩を塗るような事を・・・」
「あはは、ごめんごめん、悪気は無かったんださどね」
片手で謝る仕草をする恵子