教室でドキドキしながら待っていると、宮部先生が入ってきて、俺の前に、向かい合うように座って言った後、
「なあ、隆、お前、野球どうだ?」
想像してた内容と違うし、野球どうだ?って質問の意味が解らずキョトンとしてしまった。
「どうって、どう言う意味ですか?」
「いや、あんな終わり方だったじゃないか。何人かと話をしたけど、野球したくないって奴もいたからさ。お前は、補習の時、野球部の方を気にしてたみたいだったからな」
続けて、
「先生は、顧問って言っても、練習とかは、監督に任せっきりだったけど、お前達が三年間、頑張ってたのは知ってるからな、あれで、終わっちゃうのは、かんか、悲しいなって思ってな」
「それに、お前はいいピッチャーだしな。このまま、終わっちゃうのは、勿体ないって思ってるんだ」
俺のことを勿体ないって思ってくれる人がいることが嬉しかった。
でも、心の整理っていうか、どう考えていいのかもよく解らない。今、野球をする気持ちにはならないし、野球のテレピとかも、見たいとは思わない。今後も、こんな気持ちのままなのか、それとも、いつか思い出にかわるのか。
「すみません、俺にも、まだ、よく解りません」